$\ce{p$K$_{aH}}$は反応性を考える上で重要である。
カルボン酸誘導体の反応性は脱離基の脱離能で議論することができる。
これは脱離基$\ce{Y-}$の共役酸$\ce{HY}$が$\ce{H+}$と$\ce{Y-}$に解離する傾向と四面体中間体から脱離が起きて$\ce{Y-}$が生成する傾向が一致しているからである。
| 反応性 | 塩化アシル | > | 酸無水物 | > | チオエステル | > | エステル | > | アミド |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 脱離能 | $\ce{Cl-}$ | > | $\ce{RCOO-}$ | > | $\ce{RS-}$ | > | $\ce{RO-}$ | > | $\ce{RHN-}$ |
| $\ce{p$K$_{aH}}$概略 | -7 | < | 5 | < | 10 | < | 16 | < | 35 |
塩基を用いてプロトンの引き抜きをする時、その反応が進行するかを予測できる。
e.g. アルコキシドを用いたエノラートイオンの生成
アルコキシド$\ce{RO-}$の$\ce{p$K${aH}}$は約16である。一方でケトンのα水素の$\ce{p$K$\ce{a}}$は約20である。
よって、アルコキシドではケトンからエノラートイオンを生成することは厳しい。
そのため、ケトンからエノラートイオンを生成する時には$\ce{LDA}$(リチウム ジイソプロピルアミド $\ce{LiN(i-Pr)2}$)等のさらに強い塩基を用いる必要があることが分かる。
※$\ce{^-N(i-Pr)2}$の$\ce{p$K$_{aH}}$は約35
では、ケトンではなくβケトエステルを用いたらどうだろうか。
βケトエステルの2つのカルボニルに挟まれている$\ce{C-H}$の$\ce{p$K$_\ce{a}}$は約10である。
そのため、アルコキシドでもエノラートイオンを生成することができる。
※βケトエステルを用いた場合、生成物を加水分解した後、加熱することで脱炭酸が起き、エステル部分を取り除くことができる。